大久保とモーツァルトと光る学費

久しぶりも久しぶり、20年ぶり(は言い過ぎ)くらいに、大久保のT響さんの練習場にお邪魔しました。例のジャニーズでない男性ヴォーカルグループのリハーサル(すごい飛び練です、本番は来週)、オケは寄せ集めだけど、T響さんの事務局がオケをハンドルされているようで、練習会場をお借りしている形でした。

2ndをお願いした生徒と大久保駅で待ち合わせして向かいながら、
(あーこの子と同じくらいのトシの頃に、私は半分気絶しそうになりながらココに通ってたんだ…)
と、まざまざとあの頃の緊張を思い出しました。

もうヨソのオケに行っても普段の自分のオケより明るめ元気めに挨拶運動するくらいで別にどうということもない、全然可愛らしくない大人になってしまいましたが笑、あの頃は私も人並みにウブで笑、あぁこのロビーを通り抜けるだけでも息が止まりそうだったなとか、あぁこのトイレになかなか行けなかったんだよなとか(休憩時間もヘタにうろうろする勇気がなく、ずっと自席に座ってました…かわいい…)、もう全てが懐かしかったです笑。

私は本当に色々遅かったので、大学院の頃の木管コンクールで2位をいただいた後に初めてプロのオーケストラに呼んでいただきました(「お前みたいに地方出身で美人でもなくて酒も飲めなくて面白い話のひとつもできなくてシゴトくれる類の先生の弟子でもなくて(私の先生はオケマンじゃなくて大学教授でした)コネも何にもない奴は、シゴト欲しいならコンクールで勝つしかないんだぞ」と、寮のラウンジで私を泣かせた先輩の言葉どおりに、正に、なったのです。コンクールに勝つまで、本当に仕事のシの字もなかった。今思えば当たり前のことだけど、先輩、大正解。20年を経て、その先輩と先日も飲みました!大好き!笑)。
その、最初に呼んでくださったのがT響さんだったのです。でも、トシはそれなりにとっていたので、初めてのエキストラとはいえコマカい曲とか軽い本番とか大編成の端のほうとかでは全然なくて、『オルガン付き』(サン=サーンス)2ndだったり、その後すぐ新国立劇場のバレエ公演に投げ込まれたりして、もう今考えても震えるばかりなのですが(私だったらそんな経験無しな若手をいきなりそんな演目で呼べないです…)、京響に入団するまでの1年あまり、今の私につながる貴重な経験を積ませていただきました。当時のT響の方々には本当に鍛えていただいて、たぶん沢山許していただいて、感謝しかないです。呼ぶ側の懐の深さを思います…

そんなこんなを思いながら、頭の中はハタチそこそこのまま合奏場にお邪魔して、あーここであの人とあの人が怒鳴りあってたなー(当時のT響さんは血気盛んなおじさんばかりで、ちょこっとコワかったのです笑)とか思いながら楽器を出して準備していると、だんだん他のメンバーの方々も集まってこられて、


…寄せ集めオケで、木管セクションで自分が明らかにとても最年長(たぶんじゃなくて目視レベルで絶対に)というのを、遂に初めて体験しました…


…。
現実に戻り、関西の明るいおばちゃんに戻って、ふんわり系の指揮者さん(=アレンジャー)にもドシドシ質問しました◎笑

そうそう、ホルンの方にご挨拶したら、
「小谷口さんだよね、僕、音コンの時に君のモーツァルトを伴奏したよ」
と言っていただいたのでした!あの時のオーケストラで吹いてくださっていた!
ひゃーすみません!!と、平身低頭、謝れるだけ謝って、でも、大人になってお仕事でご一緒できるようになって、本当に光栄なことです。頭の中が若返ったり戻ったりまた若返ったり…と、脳内タイムスリップの忙しい一日でした。


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帰って、昨日は、明日本番の音楽鑑賞教室のリハーサルがあって、そのあとは、ついに、週末のモーツァルト五重奏の合わせでした。

弦楽カルテットを相手に室内楽、というのは、しがない縦笛吹きにとっては本当に、いつまで経っても、恐れおののき緊張するものです(総額いくらの楽器に囲まれているかを想像するだけでも。違)。私はクラリネット奏者としては平均より多く弦楽器と室内楽をやっているほうだと自分で勝手に思っていますが、それも、半分は、いつかこの変な緊張をしないでフラットな気持ちで余裕をもって大人っぽく弦の人と対峙したいという、何かもう「もがき」のような気持ちです。でも全然ダメ。そりゃ、昔はほんとに、カルテットの海でオボレるように吹いてましたから、その頃よりはずっとマシとはいえ、やっぱり、ワハハと笑いながらチューニングが済んだ瞬間から、この日の為に一生懸命練習した自分が幽体離脱しそうになりました…大丈夫…。

モーツァルトって、本当に、どこまでも、息をするように自然で、何もかもが人間らしくありたい、やさしい音楽。
だからこそ、その時のその人の心の在りようが、そのまんま出るかもしれないな、と、思います。
忙しい人は忙しいモーツァルトに、気を張っている人は強いモーツァルトに、自信をなくした人には寄る辺ないモーツァルトに、頑なな人は頑なに、ゆったり穏やかな人はそんなように。特に忙しさは、モーツァルトに限らず即座に演奏に現れてしまうから、ほんとに生活のしかたには気をつけないといけない、とは、日頃から思っていますが。

【モーツァルトは、《赦す》ということをオペラに初めて盛り込んだ作曲家だ】
というような(細かいところがうろ覚え!)著名なある音楽家の言葉が、モーツァルトに触れるときにはいつも心に浮かびます。善は善として、悪は悪としてただ分断されるものではない、人は皆、どんな人も、赦し赦され、手を差し伸べて、両手を広げて、大丈夫だよ、仲間だよ、だから今日も笑って過ごそうよ、辛いことやしんどいことも多少はあるけれど!…と、朗らかに、彼がそう言っているような気がして、そんな音を楽譜から紡ぎ出したいと願っています。
音楽家としてな自分に特に期待はしていないし、野望もないけど、

あの人のモーツァルトが聴きたい、と思われるクラリネット吹きになりたい

というのは、ずっと前から、今も、これからも、私のど真ん中にある目標です。

あと1回リハーサル、そして本番です。楽しみたいです。

五重奏といえば、来年は、ブラームスの予定があります。また頑張らなきゃです。



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夕方から大学でした。(白目)
学費が夜空に煌めいていました。
生徒諸君!おきばりやす!
(中庭に出現した巨大なクリスマスツリー。奥は今春にオープンしたキャフェテリア!おしゃれ!)


思えば去年は何だかしみったれた年末年始だったから、今年はクリスマスも賑やかに!お正月もとっぷりと!いろいろのびのび楽しみたい!と、むくむくと思っています(^^)


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