弥生さんとわかぽんのこと

今日、リハーサルが終わってホールから外に出たら!!明るかったのです!!
 
昨日はまだ真っ暗だったように思ったのに。たしかに今日は15分早く終わったけれども。
大変です、春が来ています…

嬉しいような、感動したような、狐につままれたような。
楽しいときも、しんどいときも、時間は決して立ち止まらず進んでいくんですね…
…あぁびっくりしました…


日曜日から始まったオーケストラリハーサル3日間の後、びわ湖ホール地下のリハーサル室に皆で引越しし、歌手の皆さんと合流して、今日まで3日間の音楽稽古がありました。
Sitzprobe…ドイツ語でsitzen=座る(動詞)、Probe=練習(名詞)なので、着席稽古…と言っても歌手の皆さんはご自分の出番の時はだいたい立って歌われていますが、要するに演出や振付などなしに音楽だけに集中してのリハーサルです(たぶん)。

何しろ通すだけで5時間かかる(休憩込み)オペラなので、今回は1.5日×2組で3日間。これが終わると歌手の人は舞台の上、オケはピットの中、に別れてしまうので、同じ平場で歌手の皆さんの息遣いを感じながら、盗み見ながら、間合いのヒントを得たり、何だったらちょっと気になったことを教えてもらいに休憩時間にパッと話しかけに行けたりできるのもこの時だけで、だからとっても大切な時間です。

3/3(土)組はド迫力!ヴォータン役のユルゲンさんとブリュンヒルデ役のステファニーさんは、オケがいくら鳴っても聴こえなくなるということが全くなくて、音量を落としてバランスを取るという作業をみんなすっかり忘れてしまっていました(本当にすみません)笑。軽々歌ってらっしゃるように見えるのに、地鳴りのような声。。
ユルゲンさんが

das Ende

と歌われると、もうほんとに、この世の全部が終わってしまいかねないような凄みです。でも、明るいおっちゃんです笑。ステファニーさんも、なんというか、楽しい料理番組でも持ってらっしゃいそうなポップな雰囲気なのに、もう、ほんとに凄い。おトイレで一緒になった時、彼女がいるだけでおトイレじゅうの空気がすっかりポップで笑、何か楽しかったです笑。でも歌い始めたら物凄いドラマティックなブリュンヒルデ。ブリュンブリュンです(謎)。  ジークムント役のアンドリューさんもすごく精悍な美声。そして、彼らと並ぶこの組の日本人キャストの皆さんも、本当に素晴らしくて、なんかもう、豪華!オケが、どんどん嬉しくノッてくる感じがありありと、でした。

3/4(日)組は、オール日本人キャスト。今の日本でワーグナーを歌うなら、な、青山貴さんがヴォータンで、池田香織さんがブリュンヒルデ(秋のカルメンも記憶に新しい)。頭脳派で考え抜かれた音楽作りの池田さんに、オケはたくさんのご注文と宿題をいただき、青山さんは本当にいつお会いしても神さまのよう☺︎。でも歌い始められたら一気に別人で、無尽蔵に男前な豊かな声、好きになりそうです。好きです♡ フンディング役の山下さんといい、昨日も今日もラガーシャツだったジークムント役の望月先輩といい、男性陣の醸し出す“いい人”感が半端なくて、癒しでした笑。見ないで聴いてるだけだと、そんなことなくて、迫力満点なのですが笑。見ちゃうと、もう笑。衣装とメイクで、大変身なんだろうなぁ、楽しみです!
オールジャパンの、日本人ならではのチームワークと緻密なアプローチ、聴きごたえ抜群です、頑張ってついていかねば!!!

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びわ湖オペラは、懐かしい人や、憧れの人や、思いがけない人に会える、年に1回の嬉しい機会でもあります。私にとって初恋の人のような福井敬先生がいらっしゃらないだけで、私のこの2週間のドキドキと挙動不審は半分くらいで済んでいて笑、淋しい反面とても心穏やかなのですが笑、それでも嬉しい再会がたくさんで、休憩時間にワーキャーなってました笑。

3日組のワルトラウテ役、増田弥生さんは、実は日本音楽コンクールの受賞同期で、実にあの時以来ぶりの(たぶんです)再会でした。私は当時から弥生さんの声と音楽の大ファンで、こんなふうにお仕事でご一緒できることは本当に光栄です。たまらず休憩時間に駆け寄ったら、弥生さんも覚えていてくださって、あれからもう15年も経ったのねぇとか、でもあんまり変わってないわねぇ、とか、でもちょっとお姉さんになったかしら?とか笑、あの頃は苦しかったけど楽しかったわねぇとか、弥生さんは変わらず優しい語り口で、温かいお姉さんでした。期間中きっとご飯でも行きましょうねと約束して、席に戻りました。

4日組、ジークルーネ役の小野和歌子ちゃんは、前にも書いたことがあるかもしれませんが、芸大時代の同級生。そして指揮者の園田隆一郎くんの奥様です◎。わかぽんは、出来損ないの私とは違って学生時代の早い頃から優秀で、三年生の時の芸祭でやった学年オペラ『こうもり』で彼女が演じたオルロフスキーの見事さは、今も私の中で全く色褪せません。歌の魅力、オペラの華を私に最初にすぐそばで見せてくれたのは紛れもなく彼女です。あれから20年、妻となり母となってなお厳しい世界で活躍し続ける彼女を心から尊敬しています。ニクいのは、わかぽん、自分の出番じゃない日に見学に現れて、

「ちょっと音きこえて、すぐ、あ、いるな、って思ったょ♪」

なんて言ってくれるんです。音ひとつで私と聴き分けてくれる友を、本当にありがたいと思います。恥ずかしくない音を出さないとな。シッカリしよう!


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明日と明後日は、久しぶりのオフ(オペラは)。どうやって過ごしたら気分転換できるのか、考えるだけでドキドキして、眠れそうもありません笑笑。
きんかん茶を炊いています。
千切りは、生姜。黒いのは、粒胡椒とクローブ。
あと30分コトコトしたら、火を消して、寝ます。(眠れたら。)