ドキドキベートーヴェン

8月がまだ終わらない頃、店先に早々と陳列されていたハロウィン関係商品に気持ちがついていけずにいましたが、遂に、名実ともに秋です。10月です…早いです…

オーケストラ・ディスカバリー、のんちゃんのベートーヴェン。お楽しみいただけましたでしょうか。次々と小刻みに抜粋する形式で、我々もいつもと違う緊張感でした。次、何?次、どこ??…楽章冒頭から始まる時はまだ良くて、途中から始まる時は「それで何の和音なんだっけ?」「ほんとにココからだったっけ!」となるし、「えっと、繰り返し、するんだっけ?」「繰り返して、戻って、アタマで終わりだよ!」等々…なにより、【どこから始まるか】はまだよくても、【どこで終わるか】がドキドキでした。もちろん譜面には書き込み等で示してありますが、何しろもう何回も覚えるくらい演奏しているベートーヴェン(1番とフィデリオ以外!)。途中でストップする訓練なんかしてきてませんから、目が止まっても手が止まらない笑。だいたい、今回のようにレクチャー形式でお話ししながら抜粋で演奏していくようなコンサートだと、開始はハッキリしていても、何となく終わりはフェードアウトなパターンも有ると思うんですが、そこはのんちゃん。どの小節のどの音まで演奏するかまで(最後の音の長さを揃えたほうがおさまりが良い場合はその長さまで)が厳格に決定されていて、全員が失敗しなくなるまでリハーサルされました笑。はぁ、ドキドキしました。
何より、あの盛りだくさんの内容を、全体の流れを考え、抜粋箇所を選び、トークとのバランスを考えながら所要時間と進行の予測をしながら取捨選択をし、とはいえどれだけ計画を立ててもトークが入るコンサートは最終的に時間は予測不能になるので(しかもロザンさんがどう絡んでくるか全然分からない!)、当日その場で時間を見ながら機転もきかせながら澱みなく見事にハンドルしてみせたマエストラ、本当に驚くべき手腕です。もちろん、台本はある程度あるので、全体のアウトラインをこしらえて、台本を組み立てることをしたスタッフの労力も毎回どれほどのことだろうと思っています。お疲れ様!
そしてロザンさんです。お客様には信じがたいことと思いますが、ナビゲーターのロザンさん、毎回、全くリハーサルなしのぶっつけ本番です。もちろん台本は事前に届いて、あらかたの説明とお願いはこちらの事務所スタッフとあちらのマネージャーさんを介してある程度のところまではお聞きになっているとは思いますが、それでも、いつも、会場入りされるのは本番目前です。ガレッジセールさんもそうです。ガレッジセールさんは、スケジュールの許す限りで、何度か、ゲネプロの時にいらしてくださっていたことがあったかな、でも、そんなもんです。芸人さんって本当に凄いと毎回思います。ロザンのお二人も、ガレッジセールのお二人も、たぶんクラシックは全くの門外漢でいらっしゃる様子です。コンサートには門外漢のていでナビゲーターを勤められてますから、それでいいんですが、でも、本当にトンチンカンなことではコンサートは成り立ちません。門外漢としてお客さんと音楽の間に入り、あちこちで笑いを取りながら、ちゃんとお客さんのギモンを代弁し、コンサートを新鮮に楽しむ姿勢を見せながら、キッチリ爪痕を残し、求められる役割を十全に果たされていく…彼ら自身、その場で初めて聴く音楽、その場で初めて知る感覚、体験も多いはずです。ロザンさんとガレッジセールさんでアプローチのタイプは全く違いますが、プロだなぁ!と、いつも、感激します。感謝でいっぱいです。

そしてそれより何より、沖澤さんのベートーヴェンが素晴らしかった。抜粋じゃなくて、全部やりたいなぁ。ベートーヴェンツィクルス、やりたいなぁ。


(注)
のんちゃん、と馴々しく書いていますが、私の友人が沖澤さんのお姉さんと同門で親しいようで、伝え聞く話の中での呼称が「のんちゃん」なので、私の心の中ではついついのんちゃんです。でも、ご本人には、私は敬語で話しますし、まだ、必要最低限の会話しかしたことありません。質問を、2回、しに行っただけ笑。でも、のんちゃん。かわいいので皆さんも心の中でのんちゃんと呼びましょう笑。我らののんちゃん。すごいョのんちゃん。京都に、すごい人が来たことを、京都市民の皆さんに早くもっとひろく知ってもらいたいです。