札幌にありがとう

朝、ホテルを出て、
「あ、今日は暖かい」
と思いました。
−1℃でした…

札幌3日目の朝でした。


関西に戻ったら、暖かく感じるだろうなーと思いつつ帰ってきたのに、こちらはこちらで寒いという不思議。雪がちらつく窓の外を見ながら、札幌でお世話になった人たちのお顔を思い出していました。

コンサートをさせていただいたホールは、マルセイバターサンドや可愛いチョコレートが有名な六花亭さんのビルにありました。(↑写真はエントランスの可愛らしい壁面デザイン。)

1階が六花亭さんの札幌本店(連日、お客さんで大賑わいでした)、2階が六花亭さんの喫茶室…があるのを横目に見ながら(汗)エレベーターで上がると3.4階にヤマハミュージック札幌が入っていて、さらにその上、6階に六花亭さんのホール「ふきのとうホール」がありました。札幌での3日間は、このホールと、4階サロンと、そこから5分ほど歩いたところにあるヤマハ音楽教室のスタジオで過ごしました。

コハーン君が前半の第一部、私が後半である第二部(コハーン君が後半でいいのでは、というダジャレ提案は却下でした。鉄の年功序列でした。気を使わせてすみませんヤマハさま)、塩見くんは全乗り。そして最後に3人でというコンサート。ヤマハクラリネットの最高級機種である「アーティストモデル」と「CSGⅢ」の、ふたつの音をご堪能いただきましょうという企画でした。楽器の違いの前に芸風が全然違うので笑、なんかもうアレなのですが。はてさて、クラリネットモンスター・コハーン氏を相手に、出来ることのすくない私が一体何を舞台でお示しできるだろう、というのは、お話をいただいた当初からずっと考えていたことでした。それとともに、私なりに思うことはとても色々あって、今回はアルバン・ベルクの「4つの小品」とブラームスのEsdurの組み合わせで早春の札幌にご挨拶したいと考えました。
天才青年(ぽちゃぽちゃ可愛い天才少年だったコハーン君ももう28歳になっていました!)コハーン君のサーカスのようなパフォーマンスにお客様が圧倒された後、同じ舞台に出ていく私が、ベルクのあの少ない音だけを持って、どれだけのことを言えるか、どれだけの色をお見せできるか。どれほどの静寂をお聴かせできるか。これは、とても勇気の要るチャレンジではありましたが、でも、「音」と、「それに対峙する静寂を聴く」ということは、私がこの10年余りずっと大切に思って取り組んできたテーマでもありました。それから、ベルクのそら恐ろしい響きを聴いた後に広がるブラームスの優しいEsdurを、皆さまと共有してみたいと思いました。
コハーン君の圧倒的な素晴らしさと美音は言うに及ばず。寒い中お越しくださったお客様がたに、お楽しみいただけたなら嬉しいと思っております。

(…気づけばまた写真を撮る余裕がなく^^;、コハーン君には使途不明の動画を謎にいくつも撮られましたが…あれは一体どこへいくのやら。また何か貰えたら貰ってみます?。)


コンサートのほかにセッティングしていただいていた8組10名の方とのレッスンをする中でもそうでしたが、今回は、自分が出来ることは何だろう、と懸命に自分に問いかけながら、これまでの自分が大切に追い求めてきたこと、大切にしてきたこと、大切に思っていることを改めて確認できた旅になりました。この手の中に得られなかったことはたくさんあるけど、今この手の中にあることもささやかながら確かにあって、それは、けっこう私の大切なものばかりだと思いました。レッスンでお会いできた女の子たちも、悩みの中にあるのはまるで自分のことのように共感しながら、きっと大丈夫、と、そして、どうかお幸せにと、祈るような気持ちでいます。


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楽しかった札幌でのことを早く書きたいと思いながら、帰りの飛行機でコンソメスープを飲んだ後からはラフマニノフの勉強に戻り、翌日(昨日)は今月28日間の中で唯一私の時間を1分も人に売らなかった貴重な1日!さらいデーとして化粧もせず1歩も家から出ず朝から晩まで苦渋の譜読み祭でした( ´ ▽ ` )…

今日から定期のリハーサルです。がんばります!