万感ブラームス万歳

五月の大垣公演以来、再び関ヶ原を超えて今年二度目の岐阜県。刃物と鵜飼で有名だという関市へお邪魔してきました。
…のは先週末のこと。いつもなら、本番が終わった後、帰りの移動の中とか、興奮さめやらず眠れない夜が更けるに任せてとか、様々に去来する思いを割と時間を空けずにそれほど苦労もせずに書くほうなのですが、今回は何だかじんわりじんわりする気持ちをうまくまとめきれずに何日も経ってしまいました。

包丁などの工場を経営されている足立工業さんの社長さんのご自宅内ホール(100席超!)で、ご近所さんやご縁のある方々の手により支えられているとてもアットホームなコンサートを、東京フィル首席の金木博幸さんを中心として長く続けておられます。
その、今年の秋の会にお招きいただいたのでした。
秋に相応しいオールブラームスプログラムを、リーダーである金木さんと、今や日本を代表するブラームス弾きである鈴木慎崇(よしたか)さん、先日京響にもゲストコンマスで来ていただいたばかりの読響アシコン伝田正秀さんとご一緒に演奏させていただきました。

プログラムは以下でした↓
・クラリネット三重奏曲(小谷口、金木、鈴木)
・ヴァイオリン協奏曲より第1楽章(伝田、鈴木)
・クラリネットソナタ第2番(小谷口、鈴木)
・二重協奏曲より第1楽章(伝田、金木、鈴木)

「どれもメインみたいな曲だからプログラム順を考えるのが大変だった」とは金木ボスの談ですが、確かに、コンサートの1曲めにブラームスのトリオを演奏する経験は今までも無かったし、考えたこともなかったし、これからも無い気がします笑。だけど、「色々考えたんだよ、色々考えたんだけどね…略」と、金木さんのお話を伺っていると、正に本当に腑に落ちるというか、この順番以外考えられなかっただろうと全員で大きく頷くことになりました。
チェリストにとってもとても難曲だとよく聞くトリオ。この曲のあの冒頭を、リハーサルから本番に至るまで、あれほど何の力みも覚悟も感じずまるで自然に息をするように、それでいてとてつもなく雄弁に歌い上げられるチェリストを、いまだ見たことがありません。冒頭に限らず、金木さんのチェロは隅から隅まで大いなる音楽とゆとりとふくよかさに溢れていて、私がどう吹いても優しく包み込んでくださるような、柔らかく変幻自在に投げ返してくださるような、これが音楽なのか、という以外に表現しようのないような幸福な時間を過ごさせていただきました。
ヨッタカ君(鈴木慎崇さん)も言うに及ばず。ヨッタカ君とは、日本音楽コンクール同期で、授賞式で出会ってからの?お付き合い。ピアノ部門で一位に輝いておきながら
「ぼく、1人で弾くのあんまり好きじゃないんですよね…。室内楽やりましょーょー」
とホンワリした顔で言っていた彼はどう考えても異色で、そうして彼は受賞記念ツアーで自分のソロはしぶしぶ弾きつつ笑、みんなの伴奏も嬉々として引き受けてくれ、あの頃からみんなの人気者でした。
あの時ハタチそこそこだったヨッタカ君とハタチそこそこそこだった私もそれぞれ30代半ばと終盤になり、変わらず見事(当時から本当に老成したブラームスを弾く若者でした)かつますますパワーアップしたヨッタカ君のmore than wordsなブラームスの調べを背中いっぱいに浴びて、気を確かに保って吹くのがやっとでした。気絶しそうだった。幸せだった。。
そして!伝田さん!!!伝田さんとは今回演奏でご一緒することはなかったのですが、リハーサルから本番二回にわたり、ひたすら聴き惚れました。ブラームスのヴァイオリン協奏曲って何ていい曲なんでしょう。なんかなぁ。。。。結局、自分が吹いたどの曲でもなく、伝田さんのコンチェルトが今も脳内エンドレスリピートです。えぇ曲ゃ。。。1楽章だけじゃなくて、2楽章も、全楽章、聴きたかった。足りなかった。伝田さんほんとにほんとにブラボー!!(そしてアンコールのチャルダッシュも絶品。伝田さん本当は日本人じゃないな。)

そしてさらに心動かされたのは、コンサートを作りあげるスタッフの皆さんの熱意と清々しさ、そして、このコンサートシリーズが育ててこられたのでしょう、とても温かな眼差しで熱心に聴いてくださる素敵なお客様。夜は真っ暗闇になる、田んぼの真ん中の小さなホールが、音楽とぬくもりに満ちた素晴らしい二日間となりました。そこに私も参加させていただけたこと、心より嬉しく、感謝の気持ちでいっぱいです。
(終演後。左から、Pf鈴木慎崇さん、Kl小谷口、Vc金木博幸さん、伝田正秀さん)
おまけ。リハーサルにて。ほとばしる伝田さん。ブラボー☆
よったかくんもほとばしってたのに、二人ともほとばしったタイミングを逃した。無念。
岐阜といえば、栗じゃない??と思っていたら、すごい栗に遭遇しました。終演後の懇親会は近所の方々のお手製お料理でおもてなしいただいたのですが、デザートに出てきた栗の渋皮赤ワイン煮。大きすぎて、おはぎにしか見えない…って、写真だと大きさが分かりませんね(°_°)

これはお土産にいただいた立派な包丁。ドキドキしてまだ使えていないけど、切れ味が全然ちがうそうです。
右の緑のは、当日配られたプログラム。調律師の石原さんが、ブラームスがヴァイオリン協奏曲を書いたペルチャハの街の風景から素敵なプログラム表紙を作ってくださいました。

慌ただしい束の間の滞在でしたが、音楽って本当に素敵だ、この人生でムリして音楽を選んで良かったと心底感じた旅となりました。
(反省:喋りすぎたこと!)

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