ホームコンサートスタイルの醍醐味

河野文昭・美砂子先生ご夫妻のお宅でのアトリエ・ワム コンサート、おかげさまで無事終了いたしました。お越しくださった皆さま、ありがとうございました!!

ブラームスのクラリネット三重奏をメインに、シューマンの「幻想小曲集」(クラリネットで)、「アダージョとアレグロ」(チェロで)、メシアンの『世の終わりのための四重奏曲』より「鳥たちの深淵」(クラリネットソロ)、「イエスの永遠性への賛歌」(チェロとピアノ)というプログラムでした。
深まる秋に相応しいドイツロマン派の円熟と、メシアンでは私史上ダントツに“親密な”空間での緊張感あふれる時間を皆さんとご一緒させていただきました。

大学時代の同級生でいらっしゃるという文昭先生と美砂子先生。お二人が重ねてこられた長く続く青春の時間と、あの素敵なおうちに集う素敵な人の輪の中に私もひととき仲間入りさせていただいたような、幸福な時間を過ごさせていただきました。

お客様もとても温かく熱心で、あの距離感では演奏する我々はもちろんのこと、お客様にも相当な体力を強いるものであったと思いますが、咳ひとつせず、さりとてかしこまりすぎることもなく、慣れた様子で楽しんでいただけていたように感じました。生徒たちや同業の方々は気を使って草葉の陰から見守る(!)かのようにコソッと隠れててくれ(だからなかなか見つけられなかった笑)、そんなこんなで、私自身はとてもリラックスしてその場の雰囲気を楽しませていただきました。合間のお話も、文昭先生の柔らかいトークを中心に、私も少しお話しさせていただきましたが、お客様と直接対話するようなくだけた風情で、これぞホームコンサートスタイルの醍醐味と感じました。

お宅のほぼ全てを解放しお客さんを招き入れて(ご自分たちが出演される)コンサートを開催する、その準備の大変さたるや、どれほどのものであるか…結局私にも想像し尽くせませんでしたが、それをもう10年余りも続けていらっしゃる河野先生ご夫妻には尊敬以外の言葉が見つかりません。ひとときご一緒させていただけましたこと、心より嬉しく、感謝いたします。



生徒さんの親御さんがたがコンサートに来てくださるのも、とても嬉しいことです。今回も何組かのお父さんお母さんがいらしてくださいました。自分の子供が勉強しているのはこんなに素敵な楽器なのか、音楽ってすごいもんだなぁ、そんなふうに少しでも思っていただけたらどんなにか嬉しいと、そのことを切に願って吹きます。思った通りの音が出るまで何年も何年もかかるし、求める音楽を見つけるまでだって長く暗い道が続きます。お金ばかりかかる(楽器や楽譜やリードや学費やレッスン代やコンサートチケット代usw.)、その当の子供さんは、前に進んでいるのか進んでいないのか皆目分からないようにハタからは見えると思います。せめて楽しんでくれればいいと思うのに、苦しんで悩んでばかりのように見えるかもしれません。あるいは、親に多くは話さず、何をかんがえているのかサッパリ分からないように見えるかもしれません。本人も、何をどう考えたらいいかもうサッパリ分からないような、深い深い悩みの淵の底にひとり立ち竦んでいるかもしれません。親にはとても言えないような苦しみを抱えているかもしれません。前がどっちで後ろがどっちか、それすらわからなくなってからどれくらい経ったか分からない。プロになれるか全然分からないのに、いやプロになんかなれそうもないってだんだん分かってきてるのに、お金ばかりかかってお父さんお母さんごめん!…そう思いながら、それでもひとまず無条件に応援してくれる親だけが味方に見えた…いつの間にか自分の話になってしまいましたが、少なくとも私は学生時代そんなふうでした。

でも、自分が親の立場だったら、あんなふうに応援する勇気があったかどうか(うちの親は音楽のことが全く分からないので黙って見ている他なかっただけかもしれませんが)。それを思うと、生徒たちの親御さんのことを凄いとも思います。そんな親御さんたちに、「あんないい音が出るなら新しい楽器も買ってやろう」(例えばです笑)、「あんないい曲がいつか吹けるようになるならお前も頑張れ!」と思ってもらえるなら、少しは生徒たちの役に立てる気がする。せめてその逆にはならないように。…そうだな、演奏だけじゃなくて、私自身がsempleハッピーでなくてはならないな焦。そんなことに気づかされたりもします。先生がんばります。概ねハッピーです笑。


河野先生のお宅に飾ってあったお花。この前にリハーサルに伺った時は、リンドウの花が青く鮮やかでした。

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コンサートが終わって、また少しくたびれ感を増した楽譜たちを元の書棚に戻すとき、なんとも言えない開放感をおぼえます。やっぱり重く濃い秋でした。終わった!

ほんの数年前までなら、ブラームスのトリオを吹いた翌日は寝込んでいました(弱)。ブラームス(のトリオ)を二日続けて吹ける日が来るとは思わなかったし、ブラームス(のトリオ)とシューマンとメシアンを一つの演奏会で吹ききるなんて、若い頃の私には想像もできなかった。10月の岐阜と今回の2つ(計4回)のコンサートを経て、私自身の内側に、大きな成長を静かに感じています。歳を重ねて、出来なくなったこともあるけど、できるようになることもまだある。多分この先もまだ少しは。女性奏者としては体力面精神面での変化が激しく、踏ん張り方次第で大きな分かれ道となる難しい30代を、全力で精一杯走りきってみて本当によかった。私は私の小さな身体の使い方を知って、私のことばを得た。実りの30代だった。自慢するほどでもない小さな小さな赤い実が、葉陰に嬉しくぷちぷちぷちぷちぷちっと。私は、それでいい。


いよいよトゥランガリラ!!!

読みます!!


扇風機も仕舞いたいと思っています。。。





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