ブラームス

京響定期、平日18時開演でしたのに沢山のお客様にお集まりいただいて、みんなで感激していました。
本当にありがとうございます。


たくさん書こうと思っていたことがあったのに、森さんの辞任騒動に唖然として、東北でまた大きな地震があって頭が真っ白になって、こんがらがったままになってしまいました。
でも、大坂なおみちゃんが本当に素晴らしくて、感動をたくさんもらっています。彼女はいつも目が優しくて、静かで、賢くて勇敢な、素晴らしい女性だなぁと、感激しきりです。いつまでも彼女に無理やり日本語で質問する日本のメディアには何だかアレだなぁと思いますが、日本の国旗でいてくれることに申し訳ないような、ありがとう!と思うようなです。同時通訳が被さっちゃって彼女の綺麗で優しい発音の英語が聞こえないのがいつも残念です。
明日、いよいよ決勝!私も本番が終わったら飛んで帰って応援したいと思っています☆


小泉さんとのブラームスが終わりました。
小泉さん、やっぱり男前で、シュッと、ギュッと、かっこいいなーとしみじみ思いました。そして、本番だけの、あの胸元のフリフリが、また。



極めて個人的な話ですが、
リハーサル初日に、2楽章の例のソロが、わたし史上最遅のテンポであることが分かり、

「終わった」

と、死んだ魚の子になっていました。
もう、小さく小さく細く、とにかく耐えて忍ばないと、どうにもこうにも息が続かないテンポでした(男の人だったらそんなこともないと思います)。本当はもっと色々歌いたいところでしたが、色々試してみようとしたけどどうやっても1mmも前に運べなかったし、ちょっとでも大きくすると最後で息絶えてしまう(=死)ので、…はぁ、ただ諦めと祈りを繰り返す苦しい数日でした。でも、何とかなりました。神様のご加護に感謝します。


3楽章冒頭の朗らかなソロは、あの何でもない8分音符の連なりの細かいアゴーギクと複雑でふくよかなニュアンスを何度も何度もレッスンしていただいた、ウィーンでのことをいつも思い出します。何にもしていないように聞こえて、すごく色々やらないと全く許してもらえなくて、

「もう一回!」
「ナオコ!こうだよ!」(先生お手本←超絶上手い)
わたし吹く(わかっちゃいるけど微妙すぎてマネできない)
「違う!もう一回!」
「ハイ!」(違うのはわかる)
「もう一回!」
「ハイ!」(わたし吹く)
「ここが、こう!」
「ハイ!」(吹く)
「なんかちがうもっかい吹きます!」(吹く)
(なんかもうヤケクソになってきたけどまだまだ吹く!)
…中略…
「それだよナオコ!!!おめでとう!」
わたし唖然(何が違うか分からんくらいに微妙な話であった)

…みたいな超エネルギッシュなレッスン(もちろん先生全然怒ってない)を、何度かしていただけて、あぁ、先生優しいなぁ、ありがたいなぁ、別に出来ても出来なくてもいいような微妙なことについて、何度も何度も、冷房のない部屋で汗かきながら諦めずに聴いてくださったことを、とてもとても、心から感謝しています。
ウィーンで習った歌い方は、ザ・ウィーンな、とても分かり易い歌い回しのパターンと、一流の人が一流たる所以、とでも言えるような、どの音が長いとか短いとか速いとか遅いとか…などとは目にも耳にも全く記憶も記録もしようのないような何とも言えない絶妙なる揺らぎがあって、私が心酔してレッスンをお願いしていた先生たちのもとで、何度か、例えばモーツァルトの協奏曲や五重奏、ブラームスのソナタや五重奏、オーケストラスタディの課題などで、何度かそんな目が白黒するような場面を経験することができました。先生の魔法のような上手さを、ただ8分音符がゆるやかに連なっているだけのそのシンプルなメロディを天国的に美しくふくよかに吹かれるのを、ひたすら真似して、失敗して、真似して、こんがらがって、わからんー!となった頃にいつも

それだよナオコ!

(ーーー?????!)


…なんだかいつも、そんな感じばかりだったけど、それだよ!って、先生が隣で小躍りしてくれるんですよね、嬉しかったなぁ。

ブラームス1番の、2楽章が終わって、3楽章が始まるために指揮者をじーっと眺めている間に思い出すのはいつも、そんなことです。


ブラームスもまた、心優しい人だったんだろうなぁと思います。なんとも慈愛に満ちたひと節やひとかけらを、クラリネットに託してくれるのも、いつもとても嬉しく光栄に感じます。
来月に向けてソナタと三重奏を勉強し直すのが、また楽しみになってきました。


その前に、明日!びわ湖がんばります。
なんか喋りながらのコンサートがコロナのせいか久しぶりな気がして(たぶんそんなこともない)、震え気味です。ともかくロッシーニをさらわなくていい日に早く戻りたい〜
楽しいコンサートにしたいです。



最近の地味すぎる日々のせいで、写真が無さすぎて、久しぶりに食べた東洋亭のハンバーグです…
東洋亭って、京都に就職してから知りましたが、ちょっとつばめグリルに似ていて(つばめグリルって、関東だけでしょうか。東洋亭的な、洋食のお店です)、勝手にとても懐かしいんです。つばめグリルは貧乏学生時代の終盤、ちょっとお仕事させてもらえるようになった頃にご褒美的に食べに行っていたご馳走で、だから今でもワクワクします。このホイルの包みを開ける瞬間!
…つばめグリルの、ニース風サラダがちょっと大人っぽくて好きだったなぁ。何か魚が入ったちょっと酸っぱいサラダ。今もあるかなぁ。今度東京に行けたら、つばめグリル、行ってみよう。お財布心配せずに、ちょっといいやつ頼んじゃおう。大人〜◎



あかん!寝ます!
Naoko Kotaniguchi Official Blog

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