コラム執筆終了!(涙)

神戸に帰る前夜に、神戸新聞「随想」の、最後の原稿を書き上げました。


最終回に何を書いたらいいか、どれにしようか考えがなかなかまとまらず、パソコンに向かう決心がつかず、…今日こそはもう晩ご飯の後は練習はしないんだゾと決めて、晩ご飯の後はいつもより丁寧に後片付けをし、後片付けが終わりそうになってシンクを磨いて、排水溝の掃除をして、ついにはガスコンロの掃除までしはじめて、もう、我ながら、大笑いの大掃除。そうして、いよいよ観念して、パソコンの前に座りました。で、…はっ、手がカサカサだわ、とハンドクリームを塗りに行って、戻って、…今度こそ、諦めて、書き始めました。


書き始めたら、わりとさーっと書けるんです。もう、長さもだいたい体に入ってるので、すーっと、終わるまで書いたら、だいたい終わり。あとは微調整。何を書くかと、どこから書き始めるかを心に決めるまでが大騒動で、書いてからの微調整がまたひと騒動。それが毎回のことでした(微調整のつもりが大転換になったこともありました)。


なにを書くかは、いつも、毎回、とても心を砕いて考えることをしました。なぜかといえば、まず第一には、新聞の読者さんは、別に私の文章を読みたくて購読されているのではないということ。いろんな年齢層の、いろんな「今日」を過ごした人の目にふと止まるものだから、あんまり暗いことや深刻なことは書きたくない、専門家ではないので社会情勢や時事問題について深く語る立場にはないしそんなことは期待されていない、それでも思っていることや言いたいことはそれなりにある、音楽家の視点から書いてみるということは(新聞社側からは)多少期待されている…そんなことはゆるやかには考えていました。それで、ふさわしかったかどうかは分からないながら、第1回(1/8)は心ふかく残る「死ぬなケガすな病気すな」というメッセージについて(『校長先生の言葉』)。第2回(1/26)は、阪神大震災のさなかに置いてきた青春の後悔を(『夢のにがみ』)。第3回(2/10)は後期試験の終わったタイミングで、若い人たちも頑張ってるよということを書きたかった(『学生たち』)。第4回(3/1)は、一度は日々の何気ないことを書いてみたくて毛玉取りの話(『季節のうつろい』)。第5回(3/16)は思い切ってびわ湖オペラのことを書いてみました(『劇場の醍醐味』)。第6回(3/31)は、最後から2番目で、自分が自分の職場で一番ど真ん中に思っていることを言葉にしてみようと思いました(『美しいハーモニー』)。

最終回は、他にもいろいろ書きたいことがたくさんあってどうしようかと思ったのですが、なんだかそこらじゅうが桜だらけになったときに、去年の春のことを思い出し、この一年のことを振り返り、自分がこの一年ずっと考え続けてきたのは生きることと死ぬことだったなぁと改めて思って、ふうっと深呼吸して、そして書きました。


去年の桜の頃は、自分からこの世を去った若い友人のことで頭がいっぱいで、呆然としていました。桜が終わって、すっかり空気がぬるんだ頃に、今度は親しい友人…二塚直紀くんとの突然の別れがあり、彼の奥さんは私の同級生なので、何もできないながらも折に触れて彼女のそばにいたり話したりしている中で、家族を失うとはどういうことなのかを、ずっと考えることをしていました。親族の闘病と別れも一度でなくありました。死期の迫る人の傍にいて、ただ居させてもらうことをして、私なりに心いっぱい受け取ることをしました。思えばコロナに翻弄される一年に、コロナと全く関係ない形で大切な人との別れが重なりました。でも、ここへきて一番打撃になったのは、近所のおばちゃんが、ひっそりとコロナで亡くなっていたことを、何ヶ月も経ってから、つい最近知ったこと。そんなことってある…?と、改めて、コロナという病気のむごさを思い知らされたような気がしました。そんな人が、世の中にはたくさんいるんだろうなぁと、いよいよなんともいえない気持ちになりました。

桜満開の青空の下でも、見事な満月の夜でも、日本じゅうがビッグニューズに沸くような日でも、人知れず悲しみの底にいる人がいる。いろんな「今日」を過ごしている人がいる。それを、いつも忘れないでいることはなかなか難しいけど、でも、なんとなく、時々はそんなことも心のどこかに留めておきたいなぁと、だからってどうということはないのかもしれないけど、思っています。


それにしても!

ハナミズキがもうとっくに咲いてしまっている!

それだけが大失敗!!!つらみ!!!

4/15、掲載予定です。




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4/24のリハーサルが始まりました!

やっぱり結構タフなプログラムで、三人でヒィヒィいいながら、案外シッカリ真面目に練習しました。シュミットがまずとても大変(三人ともワタワタしております)。サンサーンスのタランテラも右往左往(笑)。イベールで「えぇ曲〜♪」とウットリして、ドビュッシーで「やっぱり知ってる曲って最高〜!!笑」。

京都アスニーで午後2時から。よろしければお出かけください。フランスいっぱいでお待ちしています。残席わずかだそうです。

Naoko Kotaniguchi Official Blog

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