旅仕事

雑誌『音楽の友』7月号に、5/29王子ホールでの「マックス・レーガー クラリネットソナタ全曲演奏会」の批評が掲載されました。批評も、評論家さんも、何かなぁ、と思う時もたくさんえりますが、私たちが思っていたことがきちんと伝わって嬉しい、伝わるんだなぁ、と、静かに感激しました。あ、たくさん褒めていただけたから嬉しいのも正直なところです(焦)。
143ページです、良かったらお手にとっていただけましたら幸いです。


さてさて、九州交響楽団さんにお邪魔してきました。楽しかった!

オケマン歴がもうすぐ20年に届こうとしていても、エキストラでよそのオーケストラにお邪魔するのはいつでも20代に戻ったようなフレッシュな緊張で一杯になります。どんなにおばさんの旅仕事でも、まだ、スニーカーを履いて行く勇気はもうしばらく持てそうにない私です…。スカート履いて行く勇気もまだありません…

身なりの話は置いといても、旅絡みでエキストラとなると、現地に着いてからはもう一生懸命個人練習することも叶いませんし、無闇に大きな音で音出しすることも出来ませんし、何より『いつもの仲間と、いつもの感じで』では全然ない環境に一人でお邪魔するので、リハーサルが始まってから懸命に『このオーケストラの』音程や歌い方やバランスや音量やタイミングやアンサンブルに対応して本番までに自分なりの答えを出さないといけないので、事前の準備をいつもより多めに整えて余裕をもって行く必要があります。なので、自分のオーケストラの業務だったらリハ前日に確認程度におさらいするくらいで済むような名曲プログラムも、今回はムッチャ練習して行きました…そして緊張しました笑。
でも、とても楽しかったです!響きも舞台からの眺めも素晴らしいアクロス福岡は8月からしばらく改修工事で閉鎖するそうで、その前に演奏できて良かったし、九響さんは素晴らしいし皆さん親切だし(泣)、小泉さんとしてはなかなか珍しいプログラム(九響の皆さんもそう仰っていました)でご一緒できたことも楽しかったです。
…結局、私のいろいろの心配は杞憂に終わり、全体的に非常に聴き馴染んだ安定感抜群のテンポでした(ホッ)。『運命の力』序曲の真ん中のソロは、わたし史上最遅だったかもしれません。4つ振り。ハープさん美人姉妹と嬉しくアンサンブルできました楽しかったです◎


本番後、アクロスの下の喫茶店で、ご褒美の一杯。いちごミルク。想像をはるかに超えてむっちり美味しくて、大満足!
はァ〜おいしい〜…と、ニヤニヤしながら飲んでいたら、隣席にお一人でいらしたご婦人に話しかけられました。私の母よりもう少し上くらいの世代でしょうか。演奏会に来てくださっていたお客様で、カヴァレリアが素敵ね、短いけれど美しくて、涙が出ちゃうの、と。うんうん。太一くん(ob)絶品だったもんなぁ。ごめんねぇ、1人だから淋しくてついつい周りの人に話しかけちゃってねぇ、お疲れのところ休まれてるのにごめんなさいね。いえいえ嬉しいです、私もすぐ周りに話しかけちゃうので。お声かけてくださって嬉しいです。笑。笑。
おひとりさまが増えていっても、こうやって隣合った人同士で一言ふた言交わしながら生きていけたら、淋しくないなぁと思いました。ワクチンはもう1回目が済んだと仰っていました。


***

この不自由な世の中にあって、仕事とはいえ遠くの街に滞在できることを有り難く思わないといけないのですが、トシでしょうか、いえ、やはりコロナの恐怖も緊張感も息苦しさも無関係ではないでしょうね、外食が続くのも疲れて(たった2泊でさえ)、知らない路地にパン屋さんを訪ねて歩くのも楽しいけれど、やっぱり、知ってる町のいつものお店のいつもの味に、ホッとします。帰ってきて、いつものお店にいつもの一杯を求めて、次の定期へ向けて自宅練習日をしながら、キャベツを刻んでブロッコリーを湯がいて糠床の無事を確認してかき回して(なんと!1年続きましたよ!)ヨーグルトに豆乳を継ぎ足して(これも祝1年☆)人参を酒煎りにしたら、やっとちょっとホッとしました。特別なご馳走は何も要らない。生野菜と、水分と、たんぱく質がきちんと摂れたら、あとはだいたいで、じゅうぶん。明日のお米を、研ぎます。

明日からもまたがんばろう。
眠れる夜が、戻りますように…

Naoko Kotaniguchi Official Blog

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