幻想
レッスンに来る若いお嬢さんの、シースルーの鞄の中に、文庫本が見えて、何だかとても嬉しくなりました。
若者と文庫本とシースルー。
さわやかです。本を読む若者って、まだ残っていたんだなぁ。
準・メルクルさんとの定期演奏会が終わりました。
幻想交響曲は、何年もオケマンをしているとそう珍しい曲でもなくなりましたが、それでもやはり、この作品に初めて取り組んだ青春の日の思いとともに、音楽のもつ狂おしさや美しさ、淋しさ、轟々たるエネルギーに心が持っていかれて、いつだって胸がいっぱいになります。
第1楽章はBb管、第2楽章でA管、第3楽章でBb管に戻って、断頭台の第4楽章はC管、魔女たちの終楽章でEs管。
だんだんおかしくなっていく過程に合わせてクラリネットの管が短くなっていき、調子が外れ、狂気の沙汰になる、その楽器の使い方の妙が本当に見事。第2楽章で、絢爛豪華な舞踏会の情景のその先に幻のように現れるクラリネットソロがA管であることも音色として絶妙だし(調性の都合で偶然だとしても笑)、第4楽章の断頭台のソロも今回はマエストロから明確なアイデアを提示していただけて、そのまま吹きました。第5楽章は私としてはもっとヤバい感じで吹きたいんだけど今回はとにかくテンポがすごく速かったのでトリルを入れるのに精一杯!わわわとなりました笑。
…と、わたし目線だとこんな感じなのですが、どんなに1番クラリネットにソロがたくさんあっても、幻想は、やっぱり、クラリネットは2番奏者の終楽章がむちゃ難しい!祐子さんブラボーです(泣)
そして、やっぱり、3楽章のイングリッシュホルンや、バンダのオーボエさんなど、見せ場がそこにしかない人々の緊張感も想像に難くありません。
でも、そんなことを言ったら、やっぱり、幻想といえば、の、「鐘」係の人の緊張を越える人は誰もいないかもしれません。その、鐘係の若い彼は、実は今回、当日ゲネプロからの急遽登板で、ほんとに、慣れない鐘でバンダでもなく舞台の上で、どれほど緊張したかなぁと思います…本番で、f(フォルテ=強く)とp(ピアノ=弱く)の両方の鐘がうまく出揃ったとき、舞台にいる全員が心の中で拍手喝采しておりました…ブラボー!!
(そんなこんなで、今回は定期演奏会なのに要所要所に居るべきメンバーが居ない!となって驚かれたかもしれませんが、昨今の流行り病の影響が少し出ていました。急遽助けに来てくださった客演の皆々様には、感謝のほかありません。)
先日の浜松からこの定期、それから来月のディスカバリーと、今回はEsclの機会が少し続いています。詰めて練習するとお口が痛いので、ゆるりゆるり、さらいます。リードが別なのが面倒臭い〜
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