神戸と尼崎と紀尾井

昼に神戸、夜に尼崎な2月第2週でした。

主にプロコが大変だと思っていた神戸室内さんへの客演は、鈴木秀美さんの手による全く新しいc-moll(モーツァルト「管楽セレナーデ」)に大奮闘の毎日。とにかく我々管楽器の人間がこれまで教わってきたり信じてやってきたことの多く(体感的にはぜんぶ!)が真逆だったりしたので、えっと次は何だっけ、次の音はどうだっけ、と、脳みそフル回転で煙を出しながら8人で頑張りました。いつもモーツァルトで気合と集中力を使い果たしてしまわないようにするのが最大の課題でしたが(ほんとはプロコが大変なのに笑)、何とか頑張りました。
11日土曜日、プロコの疾走感を心地よく引きずりながら大倉山から帰って、シューマンをひと通り練習したら、あっという間に頭の中がライン川になって驚きました。が、ちょっとクラクラしました。

翌12日は尼崎で、年に一度のアルカイックウィンドアンサンブル。
これもおかげさまで今年で10年目ということで、10年の間に、入るドレスは減ったけど、舞台の上で皆で出来ることは増えたなぁ、と、改めて思う感慨深い日でした。
ドビュッシー「小組曲」も、ムソルグスキー「展覧会の絵」も、今回はよく知っている曲なだけ心安らかでしたが、オケのなかで難しくてピシー!と(←心が緊張する音)いつもなるところがそのままで、ハイドンは何回やってもやっぱり繰り返しが心配!笑。でも、なんと言っても木管五重奏+ピアノの「展覧会の絵」が、大変だったけど楽しかったです。トランペットもサックスもユーフォニアムもいなくて、どんな響きがするのかなーと思っていましたが、案外しっくりきて驚くとともに、普段あんな大ソロを黙って担っている人の気持ちを少しだけ垣間見ることができました。楽しかった◎

その日のうちに京都に戻り、荷物を入れ替えてヨーグルトをかき混ぜてから最終新幹線で東京に入り、13日は朝から銀座でひとつお仕事をして、昼ごはんを食べ損ねながら紀尾井ホールに向かいました。

今回は、この東京公演があったことを幸いに、元生徒…というのはもう遠慮しようと思っていて、そう、「後輩」の岡本昇大くんに帰ってきてもらって数日間バディとしてご一緒させてもらうことが叶いました。
京都芸大を卒業後、コロナ禍とともに東京藝大大学院での学びが始まった彼でしたが、東京でたくさんの先生方、プレイヤーの皆さんに可愛がって頂いているようで、隣で吹かせてもらいながら、嬉しいばかり、助けてもらうばかりの毎日でした。岡本っちんと、彼の周りにいてくださる皆様に感謝で一杯です!
久しぶりの神戸室内さんでご一緒できた皆さんもありがとうございました。楽しいきもちをたくさんいただきました。

21時に終演して、京都へ帰る最終新幹線に間に合わないけれども、東京で朝を迎える勇気がなくて、22時過ぎの最終ひかりで名古屋まで行って泊まり、それでも眠れたような眠れなかったようなでしたが、BSで朝ドラを観てからチェックアウトして9時に京都に着きました。10時半のリハーサルにちゃんと座ってることができて、クビにならずに済みました。
今日から定期のリハーサル。初めましてのマエストロ・ニコラさんは、なんだか思っていたより濃い顔族で、テルマエロマエの誰かに似てる感じで映ってらっしゃいますが(京響公式SNSでリハーサル風景がupされています)、シューマンの交響曲は予想外にどの楽章も軽やかなテンポで、何というか爽やかです。時々団員のチェロを借りて「こんな感じ!」と弾いてくださるので、楽しくて、そしてコンチェルトも期待が高まる高まる!です。
第3交響曲「ライン」。シューマンがこんなに明るく晴れやかな気持ちでいたこともあったのかと思うと心底ホッとするような、そんなふうに感じるのは私だけでしょうか。謎に親戚のおばさんみたいな気持ちになって、よかったなぁ、よかったなぁ、と、謎に泣けてきます。いい曲。すごくいい曲。でも、なんというか地味にとても吹きっぱなしで、キツいです。モーツァルト、プロコフィエフ、ハイドン、ドビュッシー、ムソルグスキーの1週間を経てみて強く感じます、やっぱり突然「面」で攻めてくるんですねぇ。ドイツ音楽、全然違う。
(※以上、すべて個人の感想です)


さて。
これで、2月の残りは、(あんなに頑張って譜読みしたのに)今やキレイさっぱり忘れ去ったマイスタージンガーを思い出すのみとなりました。定期の後、とうとう今月唯一の休日となった1日を死守して練習することにします。ツラミ