Naoko

記事一覧(474)

ブラームス お祈り週間

それで、ブラームスです。ブラームスが人生の終盤にクラリネットのために遺してくれた珠玉の室内楽3作品のうち、Op.114と120-2を演奏します。今さら練習しないと吹けないようなところは特にはないけど、ひとつのフレーズ、ひとつの音、ひとつの発音、ひとつのレガート、そのどれもに、「絶対こう吹きたい」というのがあって、それは、どれだけ練習を積んでも、当日その時に全て揃うか分からないほど繊細で、大切なものなので、ブラームスを準備する時はいつも、幸せなんだけど、息が止まりそうな、悶々とした時間を過ごすことになります。きっと皆さんそうではないかと思います。おまけに、思う音を実現するには、その日その時に「ぜんぶ思ったように吹ける素晴らしいリード」が手元にないと、どうにもこうにも無理なので、もう、リードケースの中のリードたちを、毎日、吹くような吹かないような、半歩下がって様子を伺うばかりのような日々になるので、はぁ、生きた心地せず。(春は、それでなくてもリードがボケるので、毎日ころころと様子が変わるから、ほんとに寿命が縮みます…同業者のみなさん…そうですよね…そんなことありませんか…トホホ…)でも、今週はようやく、もう他に本番がないので、やっと、ゆっくりと(ほぼ毎日学校に行く以外は、ですが)、ブラームスと自分のためだけにリードを触っています。あんまり吹きすぎると変わり果ててしまうかもしれないし、と言って、いつまでも腫れ物に触るようにしていると、どれもこれも新しいまま仕上がらなくて焦ることになる(←私は断然この失敗が多い派です…)から要注意です。ま、でも、本番は、良い子にしていたら、神様が降りてきてくれるので、たいてい大丈夫。たぶん大丈夫。…お願い大丈夫でありますように。祈りながら良い子にしているしかない今週です…ドレスも入りますように…どうかどうか…日曜日ごとに東京へリハーサルに通い、この日曜日もとっても幸せな時間を過ごさせていただきました。悦子先生とブラームスをお手合わせいただける日が来るなんて。もちろんレーガーの時も思いがけない幸運に驚くばかりでしたが、ブラームスまでご一緒できるとは。まだまだ夢のようで、合わせのたびに感激しています。2番のEs-dur、とっても晴れやかに、これ以上ないというほど良い音で始めたいんです。そのために、どうしたらいいか、一生懸命練習してきました。それから、レーガーのあの複雑深淵な3つのソナタを経験してから改めて臨むブラームスは、悦子先生ともお話ししましたが、レーガーを知らなかった頃の私とはまた全然見え方感じ方が違って、それにも感動しました。耕治先生は、悦子先生とご一緒に、シューマンの歌曲「女の愛と生涯」を演奏されます。そして、悦子先生のソロは、ブラームスの、「R.シューマンの主題による変奏曲」を演奏されます。シューマンとブラームスが、こうも違う、そうだよね、とリハーサルをしながら話していましたが、悦子先生は1人でその間を行かれるので、すごく難しいだろうなぁと感嘆するのとともに、今回のプログラムの妙を改めて思っています。プログラム最後、ブラームスのクラリネット三重奏曲は、今回はチェロの代わりにファゴット版。ファゴット以外の作品をファゴットで演奏することに長年取り組まれている耕治先生が、どんな風にアプローチされるのか、とても興味深く楽しみにしていましたが、なるほど、と思うことも多いです。そして、チェロだとどなたと演奏してもいつも同じように音程が合わなくて同じように苦労するところが、今回は何ともなくスパッと合って、やっぱり弦楽器の人独特の音程感っていうやつなんだろうなぁ…と、へぇぇ、ほぉぉ、と思ったりもしています。いつもは息を吸う人が私だけだけど、今回は2人いるからブレス位置の相談も要るんだなとか。新しい発見も楽しいです。それにしても。リードがうまくいきますように。ドレスが入りますように。世界が平和になりますように。

5月の出演予定

『ブラームスは、5月生まれな気がする……5月生まれの人間が、「5月生まれ同士」に感じる独特のシンパシーをヨハネスにもしっかりと感じるのですが、その通り、ブラームスは5月生まれ。5月7日ですから、もうすぐお誕生日です。ブラームスといえば秋のイメージですが、本日は、明るく晴れやかなEs-durで開始する第2番のソナタを演奏いたします。…』…書いてみて、やっぱり却下した、今週末の東京でのコンサートのプログラムノート下書きです。「直子さんは、ブラームスの2曲をお願いできないかしら。」もちろんです!とお引き受けしたものの、です。お分かりでしょうか、巨匠の演奏会では、客席も各種巨匠だらけになるのです!大先生方のお手元に届くプログラムに、今更この若輩者のわたくしが、一体ブラームスについて何を語れるというのでしょうか…ずぶぶぶぶ。それに、他2曲を担当される悦子先生がどんな風に書かれるかも分からないし、文量の指定も特にない…けどそんなに長く書けるはずがないことも、前回までの感じから想像はついて、んもー。と、とりあえず全部出揃って校正が上がってきた時点で様子を見て書き直すことに決めて、半分ヤケクソ半分遊びで書いたのが、冒頭のそれです。でも。5月生まれ同士の独特のシンパシー、というのは、ちょっと言ってみたい気がして。お手に取られたお客さんの中で5月生まれの方がいらしたら、きっとクスッとなってもらえると思って。またいつか、自分の演奏会でブラームスを演るときに、採用してみようと思います。5月の出演予定です。【のだめカンタービレ・クラシック・フェスティヴァル in KYOTO】5月4日(土祝)①14:00〜②16:45〜③19:00〜(ロームシアター京都)指揮:茂木大輔ソリスト:石井琢磨・Budo(pf)、上野耕平(Sx)、鈴木怜奈(sop)ほか曲目:ラプソディインブルー(ガーシュウィン/横内日菜子編)、アルトサックスと管弦楽のための「スカラムーシュ」(ミヨー)ほか管弦楽:のだめカンタービレクラシックフェスティバルオーケストラ(←たぶんそんなような名前がつくのではと思います)【のだめカンタービレ・クラシック・フェスティヴァル in KYOTO】5月5日(日祝)①14:00〜②16:45〜③19:00〜(ロームシアター京都)指揮:竹内健人ソリスト:高木竜馬・菊池亮太・石井琢磨(pf)曲目:ピアノ協奏曲第2番より第2楽章(ラフマニノフ)、セカンド・ラプソディ(ガーシュウィン)ほか管弦楽:同上【懐かしの映画音楽2024】5月10日(金)14:00開演(京都コンサートホール指揮:山本祐ノ介曲目:「史上最大の作戦」(ジャール/山本祐ノ介編)、「シェルブールの雨傘」よりテーマ曲(ルグラン/南安雄編)ほか管弦楽:京都市交響楽団【京都市交響楽団 第689回定期演奏会】5月24日(金)19:30開演(京都コンサートホール)《フライデーナイトスペシャル》指揮:ヤン・ヴィレム・デ・フリーントピアノ:デヤン・ラツィック曲目:ピアノと管楽器のための五重奏曲K.452、セレナードK.239「セレナータ・ノットゥルナ」セレナードK.525「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」(すべてモーツァルト)【京都市交響楽団 第689回定期演奏会】5月25日(土)14:30開演(京都コンサートホール)指揮:ヤン・ヴィレム・デ・フリーントピアノ:デヤン・ラツィック曲目:ピアノ協奏曲第4番Op.58(ベートーヴェン)、交響曲第1番D.82(シューベルト)フリーントさんの何とか指揮者就任記念の定期なのに、なぜか大ホールでポツンと五重奏をさせられる(もちろん指揮なし笑)という、悪夢なのか悪い冗談なのか分からないステージから始まる5月定期。ぜんぜんお客さんがはいらない恥ずかしいフライデーナイトスペシャル、当時考えた人は目新しいことを考えついた自分ナイス!と揚々とされてたんでしょうが、我々からすると無理に決まってる理由はいくつも挙げられて、始まる前から、始まってからも、実情に合わない理由を説明して必死に反対したけどどうにもやめてくれなくて、企画した人々は既にヨソへ行かれて、いまだ続く、何ともかなしいフライデーナイトです。来年度まではやめられませんからこのままやります、と、去年言われたのを信じることしか、私たちにはできないのですが、来年度もあったらどうしよう。つらい。普通に2公演やりたいです。そんな中でも、金曜日に(も)来てくださり温かい拍手をくださるお客様に、いつも心より感謝しています。申し訳ありません。オーボエ高山、クラリネット小谷口、ファゴット中野、ホルン垣本の首席4人揃って頑張りますので、ご家族ご親戚ご友人たくさんお誘い合わせのうえ応援にいらしていただけたら嬉しいです。我々は、たぶんすごく楽しむと思います。だって、モーツァルトの五重奏ですから。あとはシューベルトに乗ります。第1番って初めて。そしてフリーントさんは絶対に素晴らしいので!、楽しみです。

ロメオとジュリエット

先週のことになってしまいましたが、アルペンシンフォニー、お楽しみいただけましたでしょうか。真夜中からはじまって、徐々に日がさして、登山口から森に入り、途中に滝や花咲く草原、牧場や氷河…と音の描写だけで大自然のスペクタクルが感じられて、わーこれはやっぱり素晴らしいなーと、個人的には、一気にMilkaのチョコレートが食べたくなりました。ウィーンから郊外に向かう電車に乗ると、ほんとにすぐ、モーモー牛さんが放牧されてるような丘陵地が窓外に広がります。曲の中で、カウベルが鳴ると、牛さんの匂いがする気がしたし、ひとり森の中を歩いていて思いがけず広々とひろがる草原にたどり着いた時の気持ちも思い出しました。ザルツブルクやインスブルック、バート・イシュルやハルシュタットなどを訪れた時に晴れ晴れと眼前に広がった美しい山々の壮観も。アルプス山脈の1番頂上ってどこなんだろう、そこには行ったこともないけれど、何だっけ、忘れたけど結構有名な観光地になっているナントカSpitzeみたいな名前の、とんがった山の先っちょに登った時には、脳内でアルペンシンフォニーの「頂上」の場面が響き渡ったものです(あれはどこだったっけ…)。私の「アルプス」イメージはその程度ですが、氷河のところでは、先日撮りためた録画を観ていた中に氷河の番組があったので、それを思い出していました。滝のところは、那智の滝…はちょっと違うか笑、世界一の落差の滝をテレビで観たのを、イメージしていました。でもやっぱり、Milkaのチョコが食べたいなぁ。藤色のパッケージに、牛さんの絵が書いてあるやつです。日本ではあんまり見ないかぁ、と思って検索したら、Amazonで普通に売ってますね。でも、高い〜[Alpenmilch(アルプス牛乳)]味が一番好きです。とても甘いけど笑。アルプスから下山したら、ブラームスの日曜日(月末のコンサートの合わせでした)と、オーボエ副首席奏者のオーディション3日間を挟んで、へとへとのまんま、すぐ『関西6オケ!』のためのリハーサルが始まりました。「ロメオとジュリエット」(プロコフィエフ)のんちゃんセレクション。沖澤さんとの数日をとても楽しみにしていました。でも結局、ほぼ1日しかリハーサルがまともになくて(2日目はフェスでホール練だけど1時間だけで、サウンドチェックでほぼ終わりでした)、練習が足りなくて次が何の曲か慣れる前に本番が終わってしまった!まずは大阪の皆さんの大切な会に私たちも混ぜていただけたのがとっても嬉しくて、光栄で、がんばりたかったです。それから、沖澤さんの素晴らしさを、大阪のクラシックファンの皆様にもぜひわかっていただきたくて!精一杯がんばりたいと、思っていました。初めての『関西6オケ!』、ぐるぐる回転寿司方式で慣れないことが多く、久しぶりに会えた同業他社の皆様と再会を喜んでるうちに「えっ?出てくださいって?もう出番だって!エー!」となりました(汗)。転換速すぎ。ステージスタッフの皆様素晴らしかったです!!大阪のお客さん、明るくて、あたたかく迎えていただけて、ブラボーサービス多めで、嬉しかったです。楽しかったです。ありがとうございました!来年もお邪魔できたら嬉しいなぁ。フェスティバルホール、綺麗で、ひろーくて、きもちよかったなぁ!吹きやすかったけど、もうちょっと慣れたい〜

アルプスで会いましょう

実家の目の前が公園だ、ということは以前にも書いた気がします。春休みの公園は、朝から日没の頃まで、一日中、雨の日以外、それはそれはたくさんの子供達で賑わって、窓からその様子を眺めているだけで楽しいんです。姪っ子1号が、どうやら下の学年の子たちの面倒を見るのが好きらしく、庭やガレージに出るたびに「あー!ありさちゃんのー…!」と、小さい女の子たちから可愛い歓声を受けます。ありさちゃんとは姪の名前ですが、ありさちゃんの「何」なのか、おばあちゃんでもおかあさんでもなさそうだということだけは分かるけど、ちょっとわからん、みたいなのを空中で感じるので、すかさず「ありさちゃんの、おばちゃんやでぇー!」と、返しておきます笑。ありさちゃんと仲良くしてくれてありがとう。苦手なことがたくさんある子だけど、小さい子に好かれるお姉さんになったんだなぁ、すてきなことだなぁと思います。公園に子供の姿なんて全然なかった年月も長くあったように思うんですが、戻ってきたらたいへんなもので、そこらへんの道で出会ったら知らない大人にも挨拶してくれる子供たちに戻りました。子供はみんな元気。だけど、大きくなる途中で、しんどくなっていく子もいるんだなぁ。練習しつつ窓外を見ながら、ふふふとなったり、ふと考えたり、いろいろです。子供たちの元気な声と、まー見事に上手に鳴くウグイスの声をたくさん聴けたので、すっかり元気復活して京都に帰ってきました。で、オルガン付きでした。リオ様(リオ・クオクマンさん)がスケジュールに載ったのを見た時から、みんな楽しみにしていました。リオ様は、マカオ出身でアメリカで勉強されたらしい、そして今はパリにお住まいらしい、気鋭のマエストロ。今回も本当に素晴らしかったです。写真で見るより生な方が絶対カッコいいんです。で、燕尾姿より、Tシャツ姿のほうがもっとカッコいい。朝、リハーサルに颯爽と現れて、指揮台に立って、羽織っていた1枚をサッと脱いで、単なるTシャツ姿になる。この瞬間がごちそうです。才能にあふれた若い青年の、白い腕が露わになって、無駄な脂肪の一切ない、かつ必要十分な筋肉を嫌味なくまとったその肢体。まぁすてき!…何言うとんねんです笑。Tシャツってぜんぶバレますもんね。イケメンじゃなくていいけど、どんな体つきか、っていうのは、やっぱり大事と思います。あ、指揮者の話です笑。ブヨブヨの体を見て、やっぱり良い音出ませんもん。ブヨブヨなんだったら、せめてがんばってそれがバレないような格好をしてほしい。そこいくと、燕尾って、誰が着てもそこそこに見えるように出来てるなー、着飾るって、そういうことかー、と、思ったりします。リオ様、燕尾もさすがに似合うけど、やっぱりお客様にもリオ様のTシャツ姿をお裾分けしたかったなー!としみじみ思いつつの本番でした。でも、聞いたら、リオ様、42歳!うそー!そうか、初めて会った時は10年とか、もっと前だったかもしれない。私が46だもんな、そっかチョット下だったんだっけ。聞けば、デビューからずっと同じ燕尾だそうです。え、待って、わたし、家にあるほとんどのドレスが入らないんだけど!やば。怠惰を反省です…42歳。指揮者だったら、これから円熟のとき。次にご一緒できる日を待つのが、本当に楽しみです。体に気をつけて、ますます活躍されてほしいです。私は、次があったら、まだしっかり応えられる自分で居られるように。がんばります。それと、ブヨブヨ回避もがんばります…がんばりますよ…関係ないけど、DAIGOさん(ウィッシュ!の)も46歳と今日テレビで言ってました。うそやん、同い年…と思ったら、学年1こ下だったけど!がんばろ…オルガン付きの話をしようと思ってたのに、あれおかしいな。相変わらず難しい曲でしたが、アンサンブルの神経を鍛えるには最高で、そしてよい指揮者で、楽しい数日でした。今年度も頑張れそうです。「それでは明後日、アルプス山脈で会いましょう〜」と前後左右に言いながら、舞台を降りました。

4月の出演予定

玉置浩二を喜びながらも、気になってずっとずっとモニョモニョモニョモニョ練習していた『喜びの島』(ドビュッシー)の冒頭。あんなのは嫌ですね、本当に嫌です。ひらすらさらって、何とか。ようやく終わってホッとしています。若きマエストロ・出口くんによるオーケストラ・ディスカバリー。楽しかったです!ムツカシイ曲がいっぱいだった2023年度、終了!ちょっと休憩です⭐︎4月の出演予定です。【スプリングコンサート】4月7日(日)14:00開演(京都コンサートホール)指揮:リオ・クオクマンオルガン:桑山彩子曲目:序曲「ローマの謝肉祭」Op.9(ベルリオーズ)、オルガン協奏曲ト短調(プーランク)、交響曲第3番ハ短調Op.78「オルガン付き」(サン=サーンス)【京都市交響楽団 第688回定期演奏会】4月13日(土)14:30開演(京都コンサートホール)指揮:ペドロ・アルフテルヴァイオリン:辻彩奈曲目:ヴァイオリン協奏曲第2番ト短調Op.63(プロコフィエフ)、アルプス交響曲Op.64(R.シュトラウス)【関西6オケ!2024 Special Concert】4月20日(土)13:00開演(フェスティバルホール)※京響の出演は17:10頃〜(予定)《京都市交響楽団》指揮:沖澤のどか曲目:『ロメオとジュリエット』組曲(プロコフィエフ)よりセレクション【トリオオカザキ 春の演奏会】4月27日(土)15:00開演(王子ホール)出演:岡崎悦子pf.、岡崎耕治fg.、小谷口直子kl曲目:「女の愛と生涯」Op.42(R.シューマン)、ロベルト・シューマンの主題による変奏曲Op.9(ブラームス)、クラリネットとピアノのためのソナタ第2番 変ホ長調Op.120-2(ブラームス)、クラリネット三重奏曲 イ短調Op.114(ブラームス)====世の中には、物をたくさん持っておくと安心する人と、できるだけ物を持ちたくない人がいるんだなぁと改めて思うような日がありました。いろんなモノが冷凍庫から豊富に出てくる楽しい友人のお家にお邪魔した日のことです笑。私は、片付けるのが苦手なのを自覚していることもあって、余計な物を出ッッ来るだけ持ちたくない派です。もらったものは出来るだけ早く使ってしまうか食べてしまうかしないと落ち着かないし、自分で買ってしまったものも、いつのまにか家の中に入り込んでしまった「要らないもの」たちも、できるだけ、できるだけ早く手放してしまいたい。冷蔵庫も冷凍庫もたくさん入らないから買いだめはしないし、最低限の「要るもの」だけを持って暮らしたいのに、「上手に買う」のが苦手(買ったけどうまく着られなかった服や靴がありがち)で、「片付ける」のが下手(たぶん立体的思考が苦手なんだろうと思っています)で、気に入ったものは長く使いたい。そして、時を選ばず「人から色々いただきがちな仕事をしている」…。なかなか思うようにスッキリと暮らせないまま居ますが、それでも、私は、「手放す」ことにそれほど躊躇がないだけ、マシだったなぁと思っています。これだけは、たぶん祖母譲り。祖母は、むちゃくちゃ掃除好き整理整頓好きで、それはそれは潔いほど身綺麗に生きていましたが(←ここは遺伝しなかった!)、何でもかんでもすぐ捨ててしまったり人に譲ったりしてしまってよく家族に叱られてました。その、「何でもかんでもすぐ捨ててしまう母」を反面教師にして育った娘(←私の母)の断捨離を、これから応援していこうと思っているところです。…「応援」、というのはですね、そうです。もちろん、もう何年も前から、アレしてコレして、してはいるんです。だけど、こればっかりは、ね。一生懸命様子を見ながら励まして、諦めて、手伝おうとして、諦めて、しばらく様子を見て、褒めて、諦めて、また応援して笑、ようやく、少しずつ動き始めた予感!自分の部屋を片付けるのが先!とは思いながら、ぼちぼちと。ほら、暑くなる前に。ねぇ。暖かくなったらやろう、涼しくなったらやるから、を、もう、何回繰り返したことか。あと20年くらい、元気に繰り返してくれても全然いいんだけど、と、思いながら。

玉置浩二!そしてセンバツ!

玉置浩二、それは、それは、素晴らしかったです…『玉置浩二 LEGENDARY SYMPHONIC CONCERT 2024 〜Pastorale〜』、6月まで続く全国ツアーの、大阪2公演を京響が担当させていただきました。京響にいたら、こんなシゴトは回ってくるはずがないと、諦め尽くしていたところでしたから、本当に、20年頑張って良かったです…どう素晴らしかったか、何をどう書いても全く足りる気がしません。今もまだ、明日からのシェーンベルクやドビュッシーの練習をむんむんした後でも、まだまだ負けずに玉置浩二で頭がいっぱいです。すっかり元気とパワーを分けていただいたので、しばらくは多少のことではヘコタレず頑張れそうです。大きな大きな、孤高の、優しいライオンさんのような背中でした。あれだけの、満場のお客さんと舞台の上の全員を大興奮に導いて、大スタンディングオベーションを受けて、ものすごいエネルギーと元気と勇気をみんなに分けてくれるその人の、今日が、これまでの日々や、これからの日々が、同じように元気な日ばかりでないことは容易に想像できます。あの背中に引き受け、抱えてるものは、いったいどれほどのものだろうと、やっぱり、同じく舞台に立つ人間の端くれとしては、その背中を、できるだけ多くの瞬間、見逃したくないと思いました。だけど、聴き惚れたり、見惚れたり、心がキュンとなったりしていると、もう本当に2小節もあれば簡単に落っこちてしまいそうで(!)、多少聴き惚れてしまっても大丈夫なように、みんなで必死に、いつもより多めにガイドを書いて臨みましたよ!がんばりました◎私は、たぶん安全地帯ドンピシャ世代よりは少し下だろうけれど、兄が好きで聴いていて、当時2人でシェアしていた子供部屋の、兄のほうの壁に、兄が書いた玉置浩二の似顔絵がコッチにむいて貼ってあって、だから私は玉置浩二に見つめられて育ちました笑。兄のおかげもあって、今回どの曲もぜんぶ知っていました。子供の頃から、こんなにいい曲、いい声、深い詞を聴いて育ったんだなぁ、と、昭和世代の自分を改めて幸せだなぁと思いました。それで。今は、彦根に向かう電車の中です。三月も下旬なのに、雪が降って、びっくりしています。防寒対策ばっちりで出てきました。センバツ甲子園、初日に惜敗してしまった近江高校(滋賀)の吹奏楽部が、日本航空石川高校(石川)の友情応援を買って出られたということで(中学時代にone of憧れの先輩だったH先輩が、近江高校吹奏楽部で顧問をされているんです。H先輩さすがです!)、今日は、その応援です。近江高校が初戦突破していたら、23日に、日本航空石川高校の初戦と、近江高校の2回戦、史上初のダブルヘッダーとなるところだったんだそうです。近江高校の2回戦がなくなってしまったので、日本航空石川高校だけを応援しに行くためのバス代を捻出する必要がある、ついては、体育館でスプリングコンサートをするので、皆さんよろしく!とのことだったので、中学時代の仲間からのカンパやら何やらも引き受けて、行ってきます!一緒にしてはいけないけど、自分も阪神大震災の時、学校は大規模避難所になり、間借り校舎や仮設校舎や壊れたままの本校舎を転々としながらとても部活どころでないような1.2.3.4.5.6.7.8.9.10月を過ごし、ほんとにその実力があったかどうか自分たちでも複雑な思いを抱いたまま、それでも秋の全国大会まで行かせてもらいました。「被災地枠だ」と揶揄されながら。「震災だったのにすごいなぁ」と言ってもらいながら。日本航空石川高校野球部のことは地震後すぐからニュースで見聞きしていて、センバツ代表に選ばれたこともとても喜ばしかったけど、あぁどんな気持ちでいるかな、手に取るようにわかるような、とても私などには分かりきらないような、でもとても他人事とは思えない思いで見ていました。日本航空高校は、私立だし、スポーツに力を入れている名門校だし、当時の私たちのようなみじめったらしい思いはしていないだろうとは思います。それでも、部活出来るだけいいやん、とか、センバツ(全国大会)に行ける(た)んだからいいやん、とか、そんなことだけではとても済まない、いろんなことや、思いが、現場では、当事者の中には、重く厳しくのしかかっています。特に、家族や家が無事でなかったような子は、心がつぶれるような思いを振り払おうとして払いきれないような中で頑張っているのではと想像します。「被災地から、勇気を届けます!」なんて、メディアが美談めかして簡単に言うのもとても複雑な気持ちです。自分たちのプレイで地元を勇気づけよう、なんて思わないで、難しいだろうけど、余計なこと何も考えず自分たちの野球を楽しんで欲しいです。若い人たちが頑張ってる姿は、ただそれだけで、みんなが元気をもらえるもんです。本当です。吹奏楽部の子たちもです。ありがとう。

春へ

「大丈夫か?オペラの疲れ、まだまだ残ってるやろ?ほんまがんばったなぁー!!」オペラの時、向こう岸チームだった明日香ちゃんと、定期のリハーサルが始まってから久しぶりに会えて、そんなふうに声をかけてもらって、救われました。同い年、疲れの残り方をわかってくれる同僚の、なんと心強いことよです。明日香ちゃんありがとう…その他、毎日のスズ子ちゃん(朝ドラ)と、日曜日のまひろちゃん(大河)と、それから、六甲山牧場の赤ちゃんヒツジの画像(instagram)に癒され励まされて、なんとかここまでやってこられました…赤ちゃんヒツジ、かわいいです最高です…金沢の自由時間で、ラフマニノフも一生懸命練習した先週の頑張りが効いて、今週はそれほど追い込まれずに済み、すこしゆったり過ごすことができました。ずっと続いていた、頭がぐるぐるぐるぐるするような感覚もようやく消え、肩と手首はもう少しかかりそうなのでしばらく様子を見るにしても、ほぼ復活です!生きた心地が戻ってきました。定期演奏会、お越しくださった皆様、ありがとうございました。お見送りも復活して、お客様方のお顔お顔…にお会いできるのも、やっぱり嬉しいです。ありがとうございます!バルトーク凄かったですね。ラフマニノフも楽しかった!ラフマニノフって、つるぴかの綺麗〜な音じゃなくていいから、シブくって、ぐわぁーっと、でも思ったときにしっかり思った音が出るような、信用できるリードでごしごしいきたいような、そんな感じ。私はです。ラフマニノフで、クラリネットだったら。どういうふうにいきたいか、はっきりイメージがあります。それができるかどうかは、その時の私次第なんだけれども、やや混沌とする3番のシンフォニーの中でも、しっかりと爪跡を残したい。なんかそんなのが、とても好き。たのしい。この先は、4月27日に、東京・王子ホールで、再び岡崎耕治先生fg、悦子先生pfとの室内楽の会に呼んでいただいていて、今年はブラームスのEs-durのソナタとTrioをご一緒させていただきます。そのために、リードケースの中身をしっかりと立て直していくことと、ブラームスの音楽に向かうために、心をふくよかに調えることに専心する春になりそうです。悦子先生、耕治先生と音楽にあふれる日々、楽しみです!いい音で吹きたいなぁ。それをしながら、他も意外に盛りだくさんで、週明けは玉置浩二!!、来週のディスカバリーも割と大変、来月はアルペンも関西6オケもあるし、…しっかり計画を立てて、全て楽しくやり尽くしたいです。いつまでも肌寒かった3月、ここへ来てようやく春めいてきて、北山へ向かう途中なハクモクレンの蕾も、いよいよふくふくと、空に向かって今開かんとしていました。わくわくする季節です。花粉もたくさん、寒暖差や、季節の変わり目的な難しさもあります、みんなでご自愛しましょう。

3/4寄付金集計のご報告

私が金沢で不慣れなヴォーン・ウィリアムズと格闘しているあいだに、事後作業を一生懸命してくれている学生たちから、寄付金集計の連絡がありました。後日各種SNSにて彼らからご報告があるはずです、と書きましたが、なかなかアクセスしにくい方もあると思いますので、こちらでもご報告させていただきます。3/4「能登半島地震に心寄せるチャリティコンサート」にて、皆様にご協力いただきました寄付金は、総額 191,834円となりました。この全額を、日本赤十字社を通じて被災地に届けていただきます。コンサート開催のためにかかった費用(会場代、ピアノ調律代、チラシ作成代など)は、寄付金のほかに皆様よりお寄せいただきましたご協力金などによりまして全てまかなうことができ、出演の学生らからは参加料を一切出させる必要なく済みました。偉大なる応援団の皆様方に心より感謝いたします。ご協力金として頂戴いたしましたお金はこの金額の中には含まれず、この後お礼状をお出しするところまで完了した時点で全ての経費の計算をし、残った金額は寄付金に追加して、送金する予定です。ですので、最終の寄付金総額は、もう少し増える予定です。寄付先については、学生たちに考えてもらいました。私自身も、寄付先には毎回迷うし考えてしまうのです、今回は、彼らが調べて、考えたことを尊重しようと思いました。彼らの答えはこうでした。「自治体に直接送るほうがより被災された方に届きやすいと一旦は思ったけれど、よく考えたら、被災しているのは石川県だけではないと思って、そうしたら、どこか1箇所に限定することはできないと思いました。そこで、日本赤十字社の『令和6年能登半島地震災害義援金』の、【被災地全域への寄付】を選択しようと思います」色々なお考えがあるかと思いますが、彼らの思いにご理解をいただけましたら幸いです。ヴォーン・ウィリアムズの交響曲第5番。川瀬賢太郎マエストロの受け売りですが、Ddurのシンフォニーといいながら、最初はとても暗く沈んだ低弦の響きから開始します。続いて、Ddurに憧れるけれどまだ届かないようなホルンの音が遠くから聞こえ… 2つの世界大戦を経験したヴォーン・ウィリアムズが、第二次世界大戦のただ中に作曲した作品なんだそうです。だから…ということでした。クラリネットには、終楽章の終盤に、改めて優しく語りかけるようなソロがあり、そして最終盤には、なんと夢みるほどに美しく立ち昇る2オクターブのDdurの音階が用意されています。たどり着いた先には、ティンパニが柔らかなトレモロで引き受けてくれる、とっても特別な瞬間。私なりに祈りを込めて、大切に演奏させていただきました。前半のコンチェルトのソリスト、オーボエの吉井瑞穂さんにもお会いできて、素晴らしいソロを聴かせていただけて、感激もいっぱいの金沢滞在でした。美味しいものは、食べる余裕がなくて…でも、金沢らしいもの、お昼の定食でお刺身3枚くらいは食べられました。アンサンブル金沢さんの練習室がお借りできて快適で、リハーサルの前も、後も、夜まで練習していたらもう全然。楽屋口の守衛のおじさんおばさんと仲良くなれました。京都に(ほぼ)帰ってきましたー!!明日は、朝から大阪へ、某ママさんブラスの指導にお邪魔することになり、それはいいんですが、どういうわけか指揮まで振らないと行けなくなってしまって焦っています。どうしましょ、高校の時のインチキ学生指揮以来ですよ。しりませんよ。指揮はできる範囲で頑張ることにして笑、それよりも、寝坊しないように!頑張ります!その後は、来週のラフマニノーフ!!

チャリティコンサートありがとうございました

『ばらの騎士』2公演を何とか無事終えて、翌日は、遠藤剛熈美術館にて、「能登半島地震に心寄せるチャリティコンサート」でした。京都市立芸術大学クラリネット科の学生たち8人、本当によくやってくれました。レッスン室で彼らを見ているだけでは分からないことがあるなぁ、というのが、今回深々と感じたことです。頼もしくて、初めて見る表情もたくさんありました。"Friends"として出演してくれた卒業生や他大学からの参加者の皆さんにも心から感謝しています。おかげでプログラムも芸風も多彩になり、会の全体がふくよかになりました。もう少し工夫をして、演奏面以外でもうまく作業を割り振って参加してもらえたらもっと良かったのでしょうが、そこは京芸生も今回はこれが精一杯だったのだと思います、次があったら今度はもう少し!と思っています。私自身も、至らぬことが多々あったと思いお詫びいたしますが、正直これ以上はできなかったです、お許しください。1月にこの企画を決意してから、2月半ば頃まで、動ける限りを動いて、オペラに入ってもう本当に身動きが取れなくなってからは春休みの学生たちがよく協力して動いてくれました、彼らが日々してくれる相談と確認と報告を、移動と休憩の時間にぐるぐるっと返すことを何度も重ね、あれこれやり残したことがないか考えていたら、コンサート前日(=びわ湖千穐楽)を迎える前夜には遂に眠れなくなりました。びわ湖を全部終えて帰ってきたら荷物を置いて、当日の車の運転の予行演習(コントラアルトクラリネットの運搬、という重大任務が待っていました!)と、お茶係の買い出しを済ませました。当日は、朝7時に起きて、忘れ物がないか何度も確認し、楽器とリードもギリギリ持って(←自分も吹くのを忘れそうでした)、コントラアルトクラリネット姫をお迎えに上がり、練習した道で無事に会場に到着して、よっしゃ!と達成感でいっぱいになっていた矢先…「先生…ピアノ椅子は…」ぴぴぴぴぴピアノ椅子!!会場へ1脚持ち込む必要があったピアノ椅子(バスクラ用)を、大学(入試関係で立ち入り禁止)から事前に持ち出すのが大変だったので、私が手配し持ち込む約束になっていたのでした…ひと月前くらいに…を、すっかり忘れていたのが、この日最大の失態でした…アンサンブル部門のバスクラ椅子が、ピアノ椅子でなくて[ウチの椅子]だったのは、そういうわけでした…高さを変えられる椅子を、バセットホルンの練習のために(と、たまに電球を替えたりするのに)持っていて、本当に良かったです…(余談でした)会場の客席の数を、ある程度は増減できるとはいえ、今回は、事前にチケットや整理券をお配りすることもしなかったので、当日どれくらいのお客様に来ていただけるかが一番の心配事でもありました。閑古鳥が鳴くようでも形にならないですが、最も恐れたのは「あふれてしまう」ことでした。せっかく来ていただいてお帰り頂かざるを得ないことになれば最悪ですから、宣伝の力加減には最も神経を使いました。でも、実際には、開場から終演まで、ずっと程よく一杯の状態が続いて、何より安堵しました。出演する彼らのご家族やご友人、応援してくださる方々にまず聴いていただけたのが嬉しかったです。それから、私を応援してくださる方々が次々といらしてくださったのも、本当に有難く、心強かったです。その他にも、会に賛同してくださったり、若い人の演奏を聴いてみようと思ってくださった方のご来場にも感謝いたします。すべての皆さんのおかげで、この会が成功しました。ありがとうございました。出演した彼らにとっては、演奏できる喜びや、自分の本番そのものの反省や収穫以上に得たもの感じたことがたくさんあったことと思います。これは必ずや、彼らのこれからに活きることでしょう。お忙しい中お集まりくださり、彼らに格別な時間を作ってくださった皆様に感謝します。若い人たちがそれぞれの「今」を精一杯発表する場、というのも、大人の皆さんにとってはスペシャルな機会だったのではないでしょうか。若い人が頑張ってる姿って、本当に素晴らしいものですよね。若い頃というのは何もかもがまだ足りなくて、それを少しずつ得ていく途中の、苦しいけれど、過ぎてみればその価値がわかる、若い人だけが放つ煌めきというものがありますね。あの初々しいパワーを久しぶりに思い出したり、ハッとなって元気をもらって帰っていただけてたらいいなぁと思っています。何より、私自身が、大きく励ましていただきました。若い人たちの姿に。それを応援しようとお集まりくださったりお気持ちを寄せてくださる大人の皆さんに。やってよかったです。本当に感謝いたします。終演後、彼らから、演奏の時とはまた全然違う、いい顔をしている打ち上げの様子が、写真でどしどし届いて、また、嬉しく思いました。翌日からはすぐに事後作業に取り掛かってもらい、まもなく皆様よりお預かりしました寄付金の集計などが出ると思います。こちらはSNS上で、また、会場でご芳名帳にご協力くださった方には後日お礼状にてご報告が届くと思います、いま彼らが一生懸命準備しておりますので、今しばらくお待ちください。

薔薇の騎士

遂に、初めて真実の愛にめぐり逢った(ような気がした)時のことを、覚えていますか?びわ湖ホール プロデュースオペラ『ばらの騎士』、絶賛稽古中です。練習場でオーケストラのみのリハーサルを3日間、びわ湖ホールに移ってB.O.(歌合わせリハーサル)をA.B組合わせて3日間、1日オフを挟んでいよいよ今日からノンストップで2/27 A組H.P.(通し稽古)2/28 B組H.P.2/29 A組G.P.(ドレスリハーサル)3/1   B組G.P.3/2   A組本番3/3   B組本番です!長い長いワーグナーの数年を経て、A.B組の2つがあるのが久しぶりで、日によって微妙に間合いが違うことや、それぞれの稽古と本番が2回ずつあるのも久しぶり。1日(全幕を通す)が永遠のように感じるよりはマシなような、もう忘れたような。クラリネットは、ピットのオケ中は4人。①Bb管、A管、C管持ち替え②Bb管、A管、C管持ち替え③Eb管、D管、Bb管、A管持ち替え④Basscl(inBb/A)、Bassethorn持ち替え(これに加えてバンダのオーケストラにもクラリネットが3人います。)つまり、オケ中だけで12本のクラリネット。R.シュトラウスらしく、全てのクラリネットの音色の違いを存分に駆使して書かれているので、長いのから短いのまで、相当キャラクタリスティックに書き分けられています。だから、全員大変!!いくらエスクラだからと言ってもそんなことまでさせたら可哀想、バセットホルンの音でしか出せないカラーなのは理解するけどバスクラと兼務は気の毒、てっきりエスクラの独壇場だと思い込んでいたらC管だった(←わたし!!)…というわけで、私と祐子さんは多分通常営業の2人分くらい働いています…手が千切れそうなのはもちろんのこと、もはや肩が取れそうです…慌ててさらった私が悪いんですけど。。難所だらけの恐ろしい譜面で、最初の数日はリハーサルが始まったそばから(帰りたい…)と心の声が漏れるばかりでしたが、その後はだんだんに「吹けない自分に慣れて」きて、薄く笑いながら、まだまだ途方もない気持ちでした。でも諦めてはいけないと思って、毎日毎日、リハーサルの前と後に手がもげるほど練習していたら、本当に死にそうになりましたが、ひとつ、ひとつ、だんだん少しずつは何とかなってきて、今日、ついに、1幕が何となく短く感じた気がして、そして全幕通りました…(連符が速すぎること・音の並びが覚えきれないこと、それから、C管の分量が思ったより多くて、いつものサイズと縮尺が違うせいで指がモヨモヨになるのが、手こずっている1番の原因です。人生でこんなにC管を練習する日がくるとは思いませんでした。全60ページのパート譜のうち、A管とC管の配分が同じくらい多くて、C管は小さくて指がモヨモヨする、C管の後にA管を持つといつも以上に巨大に感じて苦しい、そして最も思い通りに吹けるBb管のページは、多くはないものの、激ムズ!)でも、やっぱり極上に美しいオペラなんです。『ばらの騎士』より美しいオペラはないと思います。音楽も、言葉も。何回も何回も泣きながら観ていた時は、吹いたらこんなに大変だったとは思わなかったけど。愛の悦びの素晴らしさと、若い情熱の煌めき、自分の思いと裏腹に変わっていってしまう心の、どうしようもなさ。諦め、愛したひとの前途を祝福し、退くひとの美しさ。それらが、見事に、音楽で、ハーモニーで描き出されていくから、ちょっとくらいむつかしくても、しょうがない。リヒャルト・シュトラウス万歳です。くやしーい!クラリネットは、もちろん、どんな場面にも、どんなキャラクターにも、どんな感情にも、全部対応できるので、どこにもここにも出てきますが、マルシャリンの諦念こそは、クラリネットの面目躍如なので、しっかり、寄り添いたいと思っています。チケット、もうちょっと有るようです、来ないなんて、そんなもったいない。ぜひ、おいでくださいね◎

2月の出演予定

冬の寒さをものともせず、こどもたち、元気でした!朝、ホールに自転車で向かう途中、先生の先導で二列にしっかり並んで橋を渡る楽しげな集団を見かけました。来てくれたのね、ありがとう、がんばるよ!と、心の中で透明の声かけをしながら、嬉しく追い越しました。電車でのアクセスが難しい地域からは、遠足のように大型バスに乗って来てくれるのでしょう、ホール周辺でバスをたくさん見かけました。それから、楽屋口を出てすぐのスペースにマイクロバスが停まっていると、あぁ今日の回には支援学校の子たちが来てくれていたんだな、嬉しいな、と思いました。タクシーが待機していた日もあって、よく見たら「鞍馬小学校様」と掲げてありました。きっとタクシーで充分間に合う人数なんですね。聴いても聴かなくても学業にはさして影響のない「音楽鑑賞」を、大切な課外活動の1つとして残してくださり、さまざまにご負担がある中でも先生方のご理解とご尽力によりこの会が実現していること、毎回感謝の気持ちで一杯になります。今年は、合唱が復活した上に、手話まで加わって、すごい!そして、指揮者は沖澤さんだったので、子どもたちにはますます親しみがあったのではないでしょうか。あんな、お姉さんみたいな小さな女の人が指揮者として大オーケストラを操って、すごいよねぇ。先生たちもびっくりなさったのではと思います。「私も指揮者になりたい!」なんて、簡単に憧れられたら困るなぁ、ほんまやねぇ、彼女は特別凄いんやからねぇ、と、笑っていました。アンコールのラデツキー行進曲の時、沖澤さんが遂に客席に降りていかれた日がありました。今まで、いろんな素晴らしい指揮者の方々がこの音楽鑑賞教室を担当してくださったけど、客席に降りて子どもたちと一体になった人は1人もいなかった。客席の通路を歩き進みながら、子どもたちと手拍子を楽しげにしていた朗らかなその人が我々のマエストロであること、心から幸せに思いました。全10公演が無事に済んでホッとして、また今度は中学生のための鑑賞教室。小学校の回と共通のプログラムがあることに、そうか、小学生の時にはコロナで来られなかった学年の子たちなんだなと気付かされます。その時のぶんも含めて2回分、楽しんでもらえるように、がんばろうと思います!2月の出演一覧です。